「ダイナミック・ドライ・デイジー」
ボクが彼女と初めて会ったのは丁度月面を半周した頃
どうやら、ボクとダイナミック・ドライ・デイジーは同じ場所からスタートしたみたいなんだけど
その時は背中合わせだったからお互いあまりわからなかったみたいなんだ
で、久しぶりに初めて会ったボクらは少し距離を残しつつ同じ
とても小さな小さなクレーターに腰掛けて休憩することにしたんだ
言葉にしようか
お辞儀でもしようか
遠くキラキラ光る宝石みたいな青い星を見ながらボクはすこし考えた
ダイナミック・ドライ・デイジーも多分同じ事を考えていて
ようやく目が合ったボクらはまず、ちょっと笑った
それから二人は
(本当はお互いのチップを交換すれば一瞬で終わるんだけど)
これから彼女が歩む
これからボクが進む
もう半分の月面について
身振りなんかも交えながら一生懸命音声にして情報を交換した
だってさ
ちょっとぐらい間違ってたり、わからないことがあったほうがワクワクするでしょ?
それから、話すことがなくなって少し寂しい時間が訪れた
とてもラッキーなことにボクらは腕時計も携帯電話も持っていなかったのでそこまで時間を気にすることが
できなかったというか、必要なかったというか
まぁ、とにかく歩き始めなきゃいけないんだけど
また背中合わせのスタートは味気ないので
青い宝石がクルっと一回転するのを見た後
ボク達は向かい合った
これから半分はダイナミック・ドライ・デイジーと一緒
彼女の声を思い出しながら時々笑ったりしてボクは歩く
ダイナミック・ドライ・デイジーは枯れて乾いて砂になるまでしずくをこぼしつづける
でも大丈夫
彼女は素敵なものに溢れているから
月が丸くてよかった
もう本当に歩き始める寸前にダイナミック・ドライ・デイジーは
恥ずかしそうにスカートのすそをつまみながらチョコンとお辞儀をした